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2013年9月 7日 (土)

ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(クラウン効果について)

前回、ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(3次元)を実施し、ゴムバンドが回転につれてローラーの太い側へ寄っていく「クラウン効果」が再現できる事を確認しました。このクラウン効果についてもう少し考えてみます。

駆動ローラー1回転毎のバンドの動きをGIFアニメーションにしたものを、もう一度下に示します。Time=1で駆動ローラーが1回転しますが、その間にゴムバンドが奥側へ寄っていくのが分かります。

ゴムバンドがどのようにしてローラーの太い側へ寄っていくのか確認するため、下図のように、回転始めにおいてゴムバンド上の1点(点A)を指定しました。

Rband08201


この点AのZ座標(ローラー軸方向)が、回転につれてどう変化するかプロットしました。
また、軸荷重は前回実施の30[N]と、今回新たに50[N]でも実施して付け加えました。

Rband08202


ローラーの外径が約100mm、ゴムバンドの内径が約220mmなので、駆動ローラーが約2.2回転でゴムバンドが1回転する事になります。

そのゴムバンド1回転の間を、上図中の点線でa~eの領域に区切っています。点Aは回転始めに駆動ローラーの中央(領域a)に位置しており、1回転してほぼ同じ位置(領域e)に戻ります。

このプロットから、ゴムバンド上の点はローラー内(領域a,c,e)においてはローラーの細い側へ若干移動し、ローラー間(領域b,d)においてローラーの太い側へ大きく移動していることがわかります。そしてゴムバンド1回転トータルではローラーの太い側へ移動しています。

これを上側から見た図に描くと、下図のようになります(フリーハンドで描いたので、見難くてすみません)。点線は下側(駆動ローラーから従動ローラーへ向かう)、実線は上側(従動ローラーから駆動ローラーへ向かう)です。ゴムバンド上の点は8の字を描くようにしてローラーの太い側へ寄っていきます。

Rband08203_2


何故このような動きをするかというと、ゴムバンドがローラーに進入する際、ローラー軸に対して直角ではなく、直角からある程度の角度傾いて進入するためです。

上図の点線の円で囲んだ部分に注目してください。

Rband08204


A点は、ローラー間ではローラーの太い側へ向かって進んでいますが、ローラーに進入する直前に細い側へ進む向きを変えます。これはローラー面に角度が付いているためです。このため、上図の通りローラー軸直交方向に対してαの角度だけ傾いて進入します。このαを進入角と言います。この挙動はプロットのグラフでも確認できます。

A点はローラー上においてローラーの細い側へ若干滑りますが、その量はそれほど大きくはありません。そして進入角があるため、A点のすぐ後ろの後続点は、A点よりもローラーの太い側において進入します。更に次の後続点はもっと太い側で進入します。このようにして、ローラーへ進入する位置がだんだん太い側へ寄っていくので、ゴムバンド全体が回転につれて太い側へ寄ります。これがゴムバンド移動のメカニズムになります。

また計算結果では、ゴムバンドを張る際の軸荷重が大きいほうが、ゴムバンドの移動速度が遅い事が分かります。これは、ゴムバンドが強く引っ張られると進入角が小さくなるためです。

このように、クラウン効果のメカニズムをSalome-Mecaにて検証することが出来ました。

【参考文献】

(1)大倉・澤田・塚本,ベルト片寄りの基本メカニズムに関する一考察, MPTシンポジウム(伝動装置)講演論文集 巻:2004、 ページ:251-254 (2004)

(2)徳田・大倉,心線撚りによるベルト片寄り現象の解析, 日本機械学会機素潤滑設計部門講演会講演論文集 巻:6th、 ページ:31-34 (2006)

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