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2013年8月31日 (土)

ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(3次元)

■概要

これまでずっと取り組んできた「ゴムバンドの摩擦力による動力伝達」ですが、Salome-Meca2013.2を用いて2次元モデルでの問題が解決したので、次は3次元モデルでの試行に取り組みました。

ただし、従来の2次元モデルを厚み方向に伸ばして3次元モデルにするだけでは、3次元化の意味があまり無くて面白くありませんので、ローラーの外径を回転軸方向に変化させ、「クラウン効果」を検証してみることにしました。

「クラウン効果」は、平ベルトやバンドを太さが不均一なプーリーに巻きかけて回転させると、徐々に「太い方」へ寄っていくという現象です。この効果を利用して平ベルトの走行位置を中央に安定させるため、中央部が太くなったプーリー(クラウンプーリ)を用いる事があります。

今回の利用ソフトウェアは、Salome-Meca2013.2(Salome6.6.0 + Code_Aster11.4)、OSはDebian7.1です。インテルPC上にVirtualBoxで仮想PCを構築し、その上にDebian7.1を入れています。

■解析モデル(ジオメトリ)

下図の通りです。基本的には従来の2次元モデルを(サイズは変更していますが)厚み方向に伸ばした形状にしています。ただし、駆動ローラー、従動ローラー共に外径を軸方向で変化させています。
ローラーの幅は100mmで、奥側の外径が102mm、手前側が100mmと、奥側が太くなっています。

Rband0801


Rband0802


Rband0803


Rband0804

図では裏になって見えませんが、「dr_z1」と「dn_z1」は両ローラーの奥側の端面です。これはz=0の境界条件を与える面です

ローラーの内径は88mmです。
ゴムバンドの内径は220mm、外径は230mm(つまりゴムバンドの厚みは5mm)です。

従動ローラーの回転軸付近に小さなブロックを追加していますが、これについては後述します。

■メッシュ

Rband0805


ゴムバンドは六面体2次要素、ローラーは四面体1次要素としています。
ローラーについては応力や変形を評価しないため、精度が必要ないので1次要素としました。
ゴムバンドは2次要素ですがかなり粗いメッシュになっています。本来はもっと細かくするべきですが、今回は試解析ということで、計算時間の短縮を優先させています。

■解析の設定

従来の2次元の解析にほぼ準じているため、今回はcommファイルの詳細説明は省略します。2次元の解析説明の記事をご参照ください。

(2012/12/3)ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(前編)
http://salome-meca.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-e977.html

(2012/12/9)ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(後編)
http://salome-meca.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-02d3.html

(2013/1/3)ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(問題点)
http://salome-meca.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-5b53.html

(2013/7/24)ゴムバンドの摩擦力による動力伝達(問題点が解決)
http://salome-meca.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-ae04.html

■解析初期における、変位制御と荷重制御の切り替え

今回、解析初期段階における従動側ローラーの制御に、小さなブロックを用いました。この部分が従来の2次元モデルと異なります。

下図の(A): 解析の初期段階においては、従動側ローラーを右に動かして、ゴムバンドを両ローラー間に張っていきます。しかしこの段階ではゴムバンドの剛性がほとんど無いため、すこしの力の増加で大きな変位が生じてしまい、(弱いバネを入れていても)荷重制御では収束しにくいです。
この段階では変位制御が望ましいです。

下図の(B): 一方、ゴムバンドを張り終えるときには、ゴムの伸びによって大きな力がローラーにかかっており、小さな変位で反力が大きく変化するため、変位制御では収束しにくいです。また、所定の軸荷重でゴムバンドを張るためにも、荷重制御が望ましいです。

Rband0806

この変位制御->荷重制御の切り替えは、STAT_NON_LINEを2段階に分けることで行えるのかもしれません。しかし、切り替え時に、変位制御で既に生じている反力を後続の荷重制御にどうやって移行したらよいか分かりません。(逆はOKです。荷重制御の解析の後、後続のSTAT_NON_LINEの変位設定で「TYPE_CHARGE='DIDI'」を用います)。

そこで今回、小さなブロックを従動ローラーのアーム端(ローラーの回転中心)に接して配置し、アーム端と接触を設定しました。そして解析の初期ではブロックに変位条件を与え、それで従動ローラーのアームを押して、変位制御としてゴムバンドを張っていきました。

そして、ある程度反力が生じたところでブロックの移動を停止し、次に従動ローラーのアームに荷重を与えて、所定の荷重値なるまで張りました(荷重制御)。
今回の解析では、ブロックの移動停止と荷重制御への切り替えを、time=0.5の時点で行っています。

この方法により、ゴムバンドを張る段階での収束性が向上しました。

この様子の動画です。

静止画です。

Rband0807

■条件等

今回、Time=2~5の間に、駆動ローラーを3回転させています。つまり、time=1あたり駆動ローラー1回転です。

軸荷重は30[N]、トルクは0.315[N・m]で、これはほとんど無負荷に近い弱いトルクです。
従来の2次元モデルと同様、Time=2~2.25の間にトルクを従動荷重でdn_trq面に与えています。

■結果の動画です。

静止画です。

Rband0808

クラウン効果によるゴムバンドの移動を分かりやすくするため、time=2~5のいて、駆動ローラー1回転ごとの静止画をアニメーションGIFにしました。

ゴムバンドが手前から奥へ移動しているのがわかります。
今回は駆動ローラーを3回転しかしていないので移動量はわずかですが、数十回転もすればローラーの奥の端へ到達してしまうと思います。

また、従動ローラーがゴムバンドの滑りによって駆動ローラーより若干遅れつつあるのが分かります。

クラウン効果については、後日もう少し詳しく評価したいと思います。

今回のデータは下記にzipでまとめています。

rband08.mmed: メッシュ
rband08a.comm: 前半commファイル(ゴムバンドを張るまで)
rband08b.comm: 後半commファイル(ローラー回転)

rband08.zip

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