« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »

2013年6月

2013年6月22日 (土)

分離せずにスライドする面同士の接触(GLISSIERE)

Code_asterの接触機能の一つに、「分離せずにスライドする」というオプションがあります。これは「DEFI_CONTACT」の「ZONE」指定の部分にて、「GLISSIERE='OUI'」を指定すると実現できます。
ちなみに「GLISSIERE」は、英語で言うと「Slide」の意味だそうです。

私は普段Marcを使っているのですが、Marcにも同様の機能があり、良く使っています。
例えば、長い物の一部分を切り出して解析する際、対称面が屈曲などで移動するような条件を与えなければならないケースが出てきます。そのような場合、移動する対称面に剛体壁を接触させ、分離せずにスライドする(接触面内での変形も可能)と設定します。Marcの場合は剛体面が使えますが、Code_asterは有限要素を用いなければなりません。また、剛体結合(LIAISON_SOLIDE)は大回転できないため、回転させる場合は変形体として扱う必要が有ります。

今回、ゴムチューブの一部を切り出して、屈曲させる解析の例で試してみました。

利用ソフトウェアは、DEXCS2012-Salome-D1-B1-64日本語版(SALOME 6.6.0 + Code_Astr 11.3)です。Salome-Meca 2013.1に相当します。

まずは結果の動画からご覧下さい。

ゴムチューブと奥の壁は分離しませんが、固着もしておらず、面内でスライドおよび変形をしている事が分かります。

変形前の静止画です。メッシュは2次要素を用いています。

Slide301

変形後の静止画です。

Slide302

ゴムチューブの手前側の切断面は、単なる対称面として面内(X方向)に拘束しています。
奥側の切断面には、鉄の壁を当てて配置しています。この鉄の壁とゴムチューブの奥側の切断面に「GLISSIERE='OUI'」での接触を定義し、鉄の壁を傾けて、ゴムチューブを屈曲させていきます。

この方法により、両方の切断面でゴムチューブは面内変形する事ができ、切断面の拘束による変な応力も発生しません。

下図は、鉄の壁に接触しているゴムチューブの切断面の変形状態です。手前側の切断面同様に変形している事が分かります。

Slide303

ここからは解析内容の詳細をご説明します。

まずSalomeによる全体のモデルです。

Slide304

ゴムチューブの一部分を、鉄の壁に沿わせて配置します。

ゴムチューブのグループ設定です。

Slide305


手前の切断面(tube_fx)は対称面とします。奥の切断面(tube_c)は、鉄の壁に接触する面とします。
tube_p1は、初期の剛体移動を防ぐための弱いバネを設定するポイントです。
tube_p2は、チューブの回転を抑えるため、Z方向の変位を同期させる点のグループです。

鉄の壁のグループ設定です。

Slide306_2



手前の面(wall_c)は、ゴムチューブと接触する面です。
下側のライン(wall_l1)と上側のライン(wall_l2)は、この壁を傾けていくための変位境界条件を与えるラインです。
また、wall_p1の点二つは、壁がY方向へ移動したり、回転するのを防ぐための拘束を与えます。

ここから、commファイルの内容をご説明します。

Slide307


まず、複数の面で構成された接触面の方向を整えるための「ORIE_PEAU_3D」です。これは接触を扱うときには基本的に入れておきます。

Slide308


「CREA_MAILLAGE」にて、剛体移動を防ぐための弱いバネを、節点グループ「tube_p1」に付けます。そのバネのグループ名を「tube_sp」という名前にしています。

「AFFE_MODELE」で要素のタイプを指定しますが、ゴムチューブ(tube)と鉄の壁(steel)は3次元ソリッド要素(3D)です。バネは「DIS_T」としており、「AFFE_CARA_ELEM」でタイプを「K_T_D_N」として、バネ定数を(0,0,1e-4,)に設定しました。つまり、x,y方向はバネ定数ゼロで、z方向に1e-4 N/mmとなります。

Slide309


材料物性ですが、鉄の壁は「steel」として鉄の物性値、ゴムチューブは「rubber」としてムーニーリブリン材料として設定しました。

Slide310


接触の設定は上記の通りです。
摩擦はありません(対称面としてスライドさせるため)。
今回使用したCode_asterのバージョンは11.3なので、接触については「Generalized Newton method」を用いる事が出来ます。しかし、「ALGO_RESO_GEOM」に関してはあえて「POINT_FIXE」を用いています。ここを「NEWTON」にすると、計算時間がかなり長くなってしまうためです。
理由は分かりませんが、GEOMに関しては「POINT_FIXE」の方が速く計算できるという結果になっています。

そして今回の主題ですが、「ZONE」の設定において、「GLISSIERE='OUI'」を設定しています。これによって「分離せずにスライドする」を実現しています。

また、両面は初期状態で接触しているので、「CONTACT_INIT='OUI'」を入れています。

Slide311


pas1aは計算の時間ステップ定義ですが、time=0~1の間を、50分割しています。
outputは出力の時間ステップですが、これもtime=0~1の間を、50分割しています。

Slide312


pas1bはpas1aに自動時間ステップ調整を適用したものです。

Slide313


「AFFE_CHAR_MECA」は境界条件の設定です。

char0は、時間によって変化しない条件です。
tube_p1にはz方向に弱いバネを設定していますが、y方向には動かないようにDY=0を設定しています。
同じく鉄の壁のwall_p1も、y方向に動かないようにDY=0としています。
鉄の壁の下の辺であるwall_l1は、上下に動かないよう、DZ=0としています。

tube_fxの面は対称面なので、「FACE_IMPO」で「DX=0」として面内に拘束しています。

tube_p2の2点について、「LIAISON_UNIF」にてZ方向の変位を連結することで、ゴムチューブが軸中心に回転することを防いでいます。

char1は時間によって変化する条件です。
鉄の壁の上下の辺(wall_l1とwall_l2)をX方向に互いに逆に動かし、壁を傾けています。
壁が傾く事で、ゴムチューブの断面も傾き、屈曲します。
ゴムチューブの切断面は両方とも面内を自由にスライドできますので、X平面と鉄の壁の間で、安定する位置でゴムチューブが静止します。

Slide314


「STAT_NON_LINE」は非線形解析の設定です。
特に変わったことはしていませんが、収束判定(CONVERGENCE)については、絶対値による判定「RESI_GLOB_MAXI」にしています。相対値による判定では、解析の初期段階において反力が小さいことで、収束しにくくなるためです。

また、収束しやすくするために、ニュートン法のイテレーション毎に接線剛性を計算する設定「REAC_ITER=1」を入れています。

Slide315


出力に関しても、特別な設定はありません。
Code_asterのバージョン10で使っていた「CALC_ELEM」は使えないので、「CALC_CHAMP」を使っています。

説明は以上となります。

今回のメッシュファイル(.mmed)とcommファイルは、下記のリンクです(zipでまとめています)。

slide3.zip

2013年6月 8日 (土)

DEXCS2012-Salome(日本語版)の注意点

先日ご紹介した「DEXCS2012-Salome(日本語版)」ですが、使っていくうちにいくつか気づいたところが出てきました。

まず、Geometryですが、オブジェクトに対して移動などの操作をする際、下図の様に、結果の名前にデフォルトの名前が入ります(ここでは“変換_1”になっています)。

Japanese11

このデフォルトの名前が日本語になっているため、このまま適用すると、オブジェクトブラウザ上での名前が「??_1」のようになってしまいます。

Japanese12


これでも特に問題は無いようなのですが、オブジェクトブラウザ上で何のことか分からなくなってしまいますので、「結果の名前」を英字で打ちかえるか、適用後にオブジェクトブラウザ上で「名前の変更」をしたほうが良さそうです。

それから、Eficasもメニューや説明の一部が日本語化されていますが、下図のように、パラメータの一部が日本語で表示される現象が出ています("CONTINUE"が"続行"になる)。

Japanese13


これについても、commファイル上では元のパラメータのままなので、差し支えは無いようです。

なお、EficasはSalomeから立ち上げないとメニューが日本語化されません。私はASTKからcommファイルをクリックしてEficasを立ち上げる事がほとんどですが、その場合はメニューはフランス語のままです。これは仕様のようです。

2013年6月 2日 (日)

第36回関西CAE懇話会(Salome-Mecaのセッション)

第36回関西CAE懇話会で、Salome-Meca活用研究会の成果報告「ここまで出来るオープンCAE」のセッションが予定されています。

日時:2013年6月14日(金) 10:00 - 19:00

場所:京都工芸繊維大学 松ヶ崎キャンパス (〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町 )

詳細は下記URLをご参照下さい。

http://www.cae21.org/kansai_cae/konwakai/kansai_36/kansai36_annai.shtml

Salome-Mecaのセッションは、13:40 - 14:50 です。
下記のような内容になっています。

・「Salome-Mecaによるゴム材料の非線形解析」

・「Salome-Mecaによる弾塑性解析」

・「Salome-Mecaによる接触問題解析の可能性」

・「Salome-Meca 日本語化 最新動向 ~DEXCS-Salomeついに日本語化~」

それから、「Salome-Meca活用研究会」の第3期メンバー募集の申込期限は5月末迄ということだったのですが、今のところまだ申し込める状態になっています。

http://www.cae21.org/Salome-Meca/Salome-Meca_top.shtml

2013年6月 1日 (土)

DEXCS2012-Salome(日本語版)リリース

DEXCS2012-Salome-D1-B1-64がリリースされました。

ダウンロードは下記URLです(メールでの登録が必要になります)。

http://dexcs.gifu-nct.ac.jp/download/

今回の最新版は「DEXCS2012-Salome-D1-B1-64」になります。64bit版のみです。

「DEXCS-Salome」は、構造解析ソフトの「Salome-Meca」をLinux OSである「Ubuntu」にインストールして動作環境を構築した上でパッケージ化し、パソコンへOSと解析ソフトを一度に導入できるという便利なシステムです。また、Salome-Mecaの他にもFreeCADやメッシュ作成などの便利なソフトも入っています。

詳しくは下記のサイトをご覧下さい(DEXCS公式サイトの説明)。

http://dexcs.gifu-nct.ac.jp/pukiwiki/index.php?DEXCS%20Official%20Wiki

今回の注目点は、「日本語化」です。

CAE懇話会Salome-Meca活用研究会の「日本語化分科会」と、DEXCS-Salome開発チームの共同作業によって実現しました。

インストールは従来のDEXCSと同様です。私の自宅のパソコンはWindows 7 64bitに、VMwareという環境ですが、それに入れてみました。
以前のインストールは下記URLをご参照下さい。

http://salome-meca.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/dexcs2011-salom.html

仮想PCのHDDにインストール後、起動した画面です。
Salome V6__6の起動アイコンをダブルクリックすると、Salomeが立ち上がります。
Ubuntuは12.04.1、Salome-Mecaは2013.1が入っています。

201306011

メニューが日本語化されています。

201306012

結果表示のParaVISのメニューも日本語化されています。ただし、パラメータ類やフィルタ名などは英語のままです。

201306013

Salome-Mecaの「ファイル」-「環境設定」-「一般的」タブで、言語を切り替える事が出来ます(デフォルトではjaになっています)。enが英語、frはフランス語です。

201306014

« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »