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2013年6月22日 (土)

分離せずにスライドする面同士の接触(GLISSIERE)

Code_asterの接触機能の一つに、「分離せずにスライドする」というオプションがあります。これは「DEFI_CONTACT」の「ZONE」指定の部分にて、「GLISSIERE='OUI'」を指定すると実現できます。
ちなみに「GLISSIERE」は、英語で言うと「Slide」の意味だそうです。

私は普段Marcを使っているのですが、Marcにも同様の機能があり、良く使っています。
例えば、長い物の一部分を切り出して解析する際、対称面が屈曲などで移動するような条件を与えなければならないケースが出てきます。そのような場合、移動する対称面に剛体壁を接触させ、分離せずにスライドする(接触面内での変形も可能)と設定します。Marcの場合は剛体面が使えますが、Code_asterは有限要素を用いなければなりません。また、剛体結合(LIAISON_SOLIDE)は大回転できないため、回転させる場合は変形体として扱う必要が有ります。

今回、ゴムチューブの一部を切り出して、屈曲させる解析の例で試してみました。

利用ソフトウェアは、DEXCS2012-Salome-D1-B1-64日本語版(SALOME 6.6.0 + Code_Astr 11.3)です。Salome-Meca 2013.1に相当します。

まずは結果の動画からご覧下さい。

ゴムチューブと奥の壁は分離しませんが、固着もしておらず、面内でスライドおよび変形をしている事が分かります。

変形前の静止画です。メッシュは2次要素を用いています。

Slide301

変形後の静止画です。

Slide302

ゴムチューブの手前側の切断面は、単なる対称面として面内(X方向)に拘束しています。
奥側の切断面には、鉄の壁を当てて配置しています。この鉄の壁とゴムチューブの奥側の切断面に「GLISSIERE='OUI'」での接触を定義し、鉄の壁を傾けて、ゴムチューブを屈曲させていきます。

この方法により、両方の切断面でゴムチューブは面内変形する事ができ、切断面の拘束による変な応力も発生しません。

下図は、鉄の壁に接触しているゴムチューブの切断面の変形状態です。手前側の切断面同様に変形している事が分かります。

Slide303

ここからは解析内容の詳細をご説明します。

まずSalomeによる全体のモデルです。

Slide304

ゴムチューブの一部分を、鉄の壁に沿わせて配置します。

ゴムチューブのグループ設定です。

Slide305


手前の切断面(tube_fx)は対称面とします。奥の切断面(tube_c)は、鉄の壁に接触する面とします。
tube_p1は、初期の剛体移動を防ぐための弱いバネを設定するポイントです。
tube_p2は、チューブの回転を抑えるため、Z方向の変位を同期させる点のグループです。

鉄の壁のグループ設定です。

Slide306_2



手前の面(wall_c)は、ゴムチューブと接触する面です。
下側のライン(wall_l1)と上側のライン(wall_l2)は、この壁を傾けていくための変位境界条件を与えるラインです。
また、wall_p1の点二つは、壁がY方向へ移動したり、回転するのを防ぐための拘束を与えます。

ここから、commファイルの内容をご説明します。

Slide307


まず、複数の面で構成された接触面の方向を整えるための「ORIE_PEAU_3D」です。これは接触を扱うときには基本的に入れておきます。

Slide308


「CREA_MAILLAGE」にて、剛体移動を防ぐための弱いバネを、節点グループ「tube_p1」に付けます。そのバネのグループ名を「tube_sp」という名前にしています。

「AFFE_MODELE」で要素のタイプを指定しますが、ゴムチューブ(tube)と鉄の壁(steel)は3次元ソリッド要素(3D)です。バネは「DIS_T」としており、「AFFE_CARA_ELEM」でタイプを「K_T_D_N」として、バネ定数を(0,0,1e-4,)に設定しました。つまり、x,y方向はバネ定数ゼロで、z方向に1e-4 N/mmとなります。

Slide309


材料物性ですが、鉄の壁は「steel」として鉄の物性値、ゴムチューブは「rubber」としてムーニーリブリン材料として設定しました。

Slide310


接触の設定は上記の通りです。
摩擦はありません(対称面としてスライドさせるため)。
今回使用したCode_asterのバージョンは11.3なので、接触については「Generalized Newton method」を用いる事が出来ます。しかし、「ALGO_RESO_GEOM」に関してはあえて「POINT_FIXE」を用いています。ここを「NEWTON」にすると、計算時間がかなり長くなってしまうためです。
理由は分かりませんが、GEOMに関しては「POINT_FIXE」の方が速く計算できるという結果になっています。

そして今回の主題ですが、「ZONE」の設定において、「GLISSIERE='OUI'」を設定しています。これによって「分離せずにスライドする」を実現しています。

また、両面は初期状態で接触しているので、「CONTACT_INIT='OUI'」を入れています。

Slide311


pas1aは計算の時間ステップ定義ですが、time=0~1の間を、50分割しています。
outputは出力の時間ステップですが、これもtime=0~1の間を、50分割しています。

Slide312


pas1bはpas1aに自動時間ステップ調整を適用したものです。

Slide313


「AFFE_CHAR_MECA」は境界条件の設定です。

char0は、時間によって変化しない条件です。
tube_p1にはz方向に弱いバネを設定していますが、y方向には動かないようにDY=0を設定しています。
同じく鉄の壁のwall_p1も、y方向に動かないようにDY=0としています。
鉄の壁の下の辺であるwall_l1は、上下に動かないよう、DZ=0としています。

tube_fxの面は対称面なので、「FACE_IMPO」で「DX=0」として面内に拘束しています。

tube_p2の2点について、「LIAISON_UNIF」にてZ方向の変位を連結することで、ゴムチューブが軸中心に回転することを防いでいます。

char1は時間によって変化する条件です。
鉄の壁の上下の辺(wall_l1とwall_l2)をX方向に互いに逆に動かし、壁を傾けています。
壁が傾く事で、ゴムチューブの断面も傾き、屈曲します。
ゴムチューブの切断面は両方とも面内を自由にスライドできますので、X平面と鉄の壁の間で、安定する位置でゴムチューブが静止します。

Slide314


「STAT_NON_LINE」は非線形解析の設定です。
特に変わったことはしていませんが、収束判定(CONVERGENCE)については、絶対値による判定「RESI_GLOB_MAXI」にしています。相対値による判定では、解析の初期段階において反力が小さいことで、収束しにくくなるためです。

また、収束しやすくするために、ニュートン法のイテレーション毎に接線剛性を計算する設定「REAC_ITER=1」を入れています。

Slide315


出力に関しても、特別な設定はありません。
Code_asterのバージョン10で使っていた「CALC_ELEM」は使えないので、「CALC_CHAMP」を使っています。

説明は以上となります。

今回のメッシュファイル(.mmed)とcommファイルは、下記のリンクです(zipでまとめています)。

slide3.zip

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