« Salome-Meca 2012.2 | トップページ | 異なる「DEFORMATION」設定の混在 »

2012年8月 3日 (金)

ゴムと金属の接触・摩擦解析(平面ひずみ)

今回は、超弾性材料(ゴム)と金属の接触・摩擦問題について試行しました。

ソフトウェアは、DEXCS2011-Salome-A3(64)(SALOME6.3 + Code_Aster STA10.5)の利用です。

Code_Asterの接触・摩擦(Contact)に関するドキュメントとしては、

[U2.04.04] Instructions for use of contact

[U4.44.11] Operator DEFI_CONTACT

等があります。しかしこれらは理論も難しく、私の外国語の読解力不足もあり、なかなか全てを把握するのは難しいです。これから徐々に理解を進めていきたいと思っています。

さて、今回の解析モデルは下図のとおりです。

Wedge0101

クサビ状のゴムを、鉄のV字状の溝に押し込み、引き抜きます。
クサビの角度(片側)は、ゴムが24°で、鉄の溝が20°であり、ゴムのほうが若干広角度になっています。
モデルは「平面ひずみ」で、左右方向は対称なので、半分のみモデル化しました。

このモデルですが、SalomeのGeometryにて外形線を作成してから、「New Entry」-「Build」-「Surface」にて外形線を複数選択(シフトキーを押しながらクリック)して、Faceを作成しました。また角のフィレットは、「Operations」-「Fillet 2D」で、Planar Faceに該当Faceを、Vertexesにフィレットを作成する角部の点を指定して作成しました。

境界条件等を与えるためのグループは下図の通り作成しました。

Wedge0102

ゴムの「dispR」は変位制御でゴムを下方に押し込むための変位拘束エッジ、「fixXR」は対称条件による左右方向(X方向)の拘束エッジ、「contR」は接触を定義するエッジです。鉄の「fixS」は固定点として全自由度拘束するエッジ、「contS」は接触を定義するエッジです。
また、各Faceには材料定義のために、「Rubber」、「Steel」のグループ名を付けました。

メッシュは、三角形2次要素としました。柔らかくて変形が大きいゴムの方のメッシュを、スレーブ側想定として細かくしています。

Wedge0103

メッシュについても、「Mesh」-「Create Groups from Geometry」によって、ジオメトリのグループ名を引き継いでいます。後工程での汎用性を考え、Nodes, Edges, Facesの全てに、出来るだけのグループを作成しました。

その後、「Mesh」-「Build Compound」にてMeshesにMesh_1とMesh_2の両方のメッシュを複数選択(シフトキーを押しながらクリック)で指定し、メッシュをまとめました(Compound_Mesh_1)。このCompound_Mesh_1をオブジェクトブラウザで右クリックし、「Export to MED file」にて、メッシュファイルに出力しました(wedge01.mmed)。

次に、Eficasによるcommファイルの編集です。今回は項目がかなり多いですが、順に上から見ていきます。

●材料と要素の定義です。

Wedge0104

材料定義(DEFI_MATERIAU)は、ゴムはMooney-Rivlin材料として、鉄は線形弾性材料としました。これらの材料を「AFFE_MATERIAU」にてそれぞれの要素グループに割り当てました。AFFE_MODELEにおける要素の種類は全て「D_PLAN」(平面ひずみ要素)としました。

Wedge0105

「MODI_MAILLAGE」-「ORIE_PEAU_2D」は各接触面におけるエッジの方向を揃えるために入れています。これはSolomeのAsterの線形解析Wizardを用いて、複数エッジにわたるグループに対して荷重を設定したときにも自動生成されるのですが、これまでの私の非線形解析試行では抜けていたようです。これ無しで計算すると接触処理でエラーになります。

●今回の主題である接触定義の部分(DEFI_CONTACT)の部分です。

Wedge0106_2


「FORMULATION」は4種類あって、デフォルトは「DISCRETE」ですが、今回の試行では「CONTINUE」のほうが大きな押し込み変位まで計算できましたので、こちらにしています。これらの理論は下記ドキュメントで解説されていますが、難しいです(MarcのDiscreteおよびAnalyticalと同じようなものと考えて良いのでしょうか。それならCONTINUEのほうが滑らかな気がします)。

[R5.03.50] Discrete formulation of the contact-friction

[R5.03.52] Contact elements derived from a hybrid continuous formulation

「FROTTEMENT」(摩擦)は、クーロン摩擦(COULOMB)です。

収束計算においての繰り返し計算回数をデフォルトから増やしました。これらは、Code_Asterの計算エラー時のメッセージに「この値を増やせ」という意味の記述があったので、それに従いました。

・ITER_GEOM_MAXI(デフォルト10)-> 50
   幾何的なリサイクル
・ITER_FROT_MAXI(デフォルト10)-> 50
   摩擦力計算のリサイクル?

「ZONE」は接触面の定義です。鉄の面(contS)をマスター(GROUP_MA_MAIT)に、ゴムの面(contR)をスレーブ(GROUP_MA_ESCL)にしました。摩擦係数は0.3です。

●境界条件の定義です。

Wedge0107

fixXRはゴムの対称面の拘束、fixSは鉄の底面と側面の完全拘束です。
ゴムの押し込みは、dispR面を変位制御で、下方(Y方向マイナス向き)に1.6mmとしました。本当はもっと多く押し込みたかったのですが、これ以上の押し込み量では計算が出来ませんでした。
この1.6mmの変位を、0秒~0.5秒間で与え、0.5秒~1.0秒の間で0に戻します(つまり
引き抜きます)。DEFI_FONCTION(depl_imp)で定義しています。

●時間ステップの定義です。

Wedge0108


自動時間ステップを使用しています。自動時間ステップの詳細については「時間ステップ幅の自動調整機能」をご参照ください。

初期ステップ幅は、0.01(1秒間を100分割)としました。押し込み50ステップ、引き抜き50ステップになります。
摩擦計算はイテレーションが多くなりそうですので、時間幅を増やす条件 (ADAPTATION)において、NEWTON法のイテレーション回数の判定基準を「15」と大きめにしています。

●結果出力間隔を指定する設定です。

Wedge0109

結果出力間隔の設定については「結果出力の間隔設定」をご覧ください。
今回は、初期時間ステップと同じ、0.01(1秒を100分割)としています。

●非線形解析の設定です。

Wedge0110


接触(CONTACT)には、上で定義した「contact」を設定します。

それから、「COMP_INCR」について「COMP_INCR_1」と「COMP_INCR_2」の2つを定義しています。
はじめは「COMP_INCR_1(RELATION:ELAS_HYPER)」の内容を全要素に対して設定していましたが、それで計算すると、Steelの材料がELASであるためか、エラーが発生しました(“ELAS_HYPERが無い”というような意味のメッセージが出ました)。
そこで、「COMP_INCR_1」はRubberグループに限定し、「COMP_INCR_2(RELATION:ELAS)」を新たに追加してSteelグループに設定しました。

これで計算は一応出来たのですが、この設定の仕方で良いのかどうかは、よく分かりません。「COMP_INCR_2」ではうっかり「DEFORMATION」の指定を忘れたのですが、この場合、SteelのDEFORMATIONはデフォルトの「PETIT」になったようです(messファイルより)。Steelは微小変形で変位も小さいのでそれで構わないのですが、そもそも、GROT_GDEP(大回転・大変位・微小ひずみ)とPETIT(微小回転・微小変形・微小ひずみ)を同じ計算の中で混ぜて良いのでしょうか。その場合、出力される応力やひずみは何になるのかも気になります。
しかし、今回はひとまず保留です。

「ARCHIVAGE」-「LIST_INST」には、上で定義した結果出力の間隔リストである「output」を指定しています。

●計算する応力等の指定です。

Wedge0111_2


●反力の集約値を出力するための設定です。

Wedge0112


節点反力の集約値を出力するための方法については、「節点反力を集約する方法」をご参照ください。

変位制御エッジである「dispR」のY方向の節点反力(REAC_NODA)を集約しています。
dispRを指定するには、要素グループ(GROUP_MA)ではなく節点グループ(GROUP_NO)で指定する必要があるようです。

結果はresuファイルに出力されます。

●ParaVIEWで表示するmedファイルへの、結果書き出しの設定です。

Wedge0113


RESU_1~5の項目が無ければ、計算したデータが全て書き出されますので、普通はそのほうが良いです(MAEDAさんからの情報)。

しかし、今回は全部書き出されると具合が悪いことがありました。

「DEFI_CONTACT」において、「FORMULATION」を「CONTINUE」に設定した場合、節点変位(DEPL)に「LAGS_C」という成分(自由度)が追加されます。これはスレーブ側の接触圧力らしいのですが、2次元解析では「DX,DY,LAGS_C」の順となり変位の第3成分になります。これをポストプロセッサ(ParaVIEW)で読み込んだときに、このLAGS_CがZ方向変位として扱われるので、その状態で変形図を出すと、無いはずのZ方向変位が生じてしまいます。

Wedge0116

そこで、RESU_1でNOM_CHAM、NOM_CMPを用いて、DEPLの出力をDXとDYのみに限定しています。
そのため、他の応力や反力などについても、RESU2~RESU5で出力指定しています。

私は最初はこの情報を知らず、結果表示でZ方向に変な変位が出て驚いたのですが、公式フォーラムを検索して、下記のやりとりから解決法を得ました。
http://www.code-aster.org/forum2/viewtopic.php?id=13405

以上でcommファイルの編集は終わりです。

------------------------------------------------

さて、上記の設定で計算させた結果が、下の動画です。

ゴムが押し込まれ、引き抜かれる様子が分かります。
押し込み時に鉄のR部分にゴムが引っ掛かるようで、その部分での変形が大きく、あまり大きく押し込めないようです。形状の設定がまずかったかもしれません。

摩擦なし(DEFI_CONTACTで、FROTTEMENTを削除)の条件でも計算し、resuファイルからエクセルに反力値を読み込んで、変位と反力の関係を比較しました。

Wedge0114

摩擦係数0.3の結果は、摩擦なしよりも反力がかなり大きくなっています。また、押し込み時と引き抜き時で違う経路を通ります。押し込み時のほうが大きな反力となっていますが、この行き・帰りの線で囲まれた部分が摩擦で失われた仕事になります。
クサビということで、引き抜き時に反力がマイナスになる(引き抜き力が必要になる)結果を期待したのですが、そのようにはなりませんでした。その様な結果を出すには、もう少し形状を調整し、また、荷重制御にて解析する必要があるかもしれません。

摩擦なしの線は一本に見えますが、行き・帰りで同じ経路をたどるため、2本の線が重なって見えています。

最大押し込み時の変形図でも、摩擦の有無で変形の違いがあるようです。

Wedge0115

何回か試行しましたが、摩擦なしの場合は「CONTACT」の「FORMULATION」を「DISCRETE」にしても、かなり大きな変位で押し込むことが出来ています。

このように、とりあえずはゴムの接触・摩擦解析を行うことが出来ました。しかし、設定内容に分からないところや、あやふやな所が数多くあります。まだこれから確認すべき点は多いようです。

今回のメッシュファイル(mmed)とcommファイルは下記です(摩擦係数0.3のケースのみ)。
wedge01.zip

« Salome-Meca 2012.2 | トップページ | 異なる「DEFORMATION」設定の混在 »

接触・摩擦」カテゴリの記事

超弾性」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1605696/46557384

この記事へのトラックバック一覧です: ゴムと金属の接触・摩擦解析(平面ひずみ):

« Salome-Meca 2012.2 | トップページ | 異なる「DEFORMATION」設定の混在 »