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2012年7月 3日 (火)

要素の曲げ特性(超弾性材料)

先日実施した「追従荷重(その2)」と同じゴムの片持ち梁モデルを使い、曲げ問題に対して、要素の種類とメッシュの細かさを変えることで、結果がどの程度変わるのか検証しました。

ソフトウェアは、DEXCS2011-Salome-A3(64)(SALOME6.3 + Code_Aster STA10.5)の利用です。

ジオメトリモデルは、幅2.5mm、長さ10mm、厚さ1mmのゴム平板です。材料はムーニー材料で、「C10=0.133333、C01=0.033333、Nu=0.499」です。

境界条件を与えるためのグループは、X=0の面にfixX、それと反対側の端面にloadという名前をつけました。

Hype031

このfixX面は完全に固定し、load面に下向き(Z方向マイナス向き)の荷重0.01[N]を与えて曲げることにしました。荷重は「FORCE_FACE(単位面積当たりの荷重)」で与えるので、load面の面積5mm^2で割って、値は「-0.002」となります。

メッシュですが、まず六面体で平板の厚み方向に2層、4層、8層となるモデルを、1次要素、2次要素それぞれで作成しました。これは、SalomeのMesh機能で、1DのMax_Sizeを指定してコントロールしています。平板の厚みが1mmなので、Max_Sizeを0.5にすると2層、0.25にすると4層、0.125にすると8層になります。

このメッシュ方法だと、厚み方向だけで無く全体にメッシュが細かくなってしまいますが、実際、一定の方向だけ極端に分割を細かくすることは、アスペクト比が悪化するので、あまりやらないと思います。なので、とりあえず今回はこのようにしました。

また、四面体2次要素メッシュも作成しました。今回の平板のような単純な形状なら六面体メッシュを容易に作成できますが、多くの場合は四面体要素を使わざるを得ないためです。
四面体メッシュなので「層」にはなりませんが、「2層相当」としてMax_Size=0.5としたもの、「4層相当」として、Max_Size=0.25としたものを作成しました。8層相当は要素数が多くなりすぎたために今回は使いませんでした。

Hype032

四面体の1次要素はほとんど使うことがありませんので、検証対象に入れていません。

解析の設定は、荷重以外は「追従荷重(その2)」とほぼ同じのため、省略します。
サンプルとして、「六面体1次メッシュ」のメッシュファイル(mmed)とcommファイルを下記に置いています。

hype03.zip

それから、六面体2次要素に関しては「低減積分」要素でも試しました。低減積分要素にするには、「AFFE_MODELE」-「AFFE」-「b_mecanique」で「MODELISATION: 3D_SI」を指定します。通常(完全積分要素)はここが「3D」になります。

Hype033

六面体1次要素に関しては、ゴム材料・大変形では低減積分が使えないようです。1次要素だからこそ低減積分で曲げ特性を改善したいところですが、残念です。

変位の評価は、下図のように、上面の角部のZ方向(上下方向)変位で行いました。

Hype034

さて、結果ですが、下表の通りになりました。

Hype035

表では分かりにくいので、厚み方向の層数と変位の関係をグラフにしました。

Hype036

おそらく、変位5.4mm~5.5mm程度が正解だと思うのですが、六面体1次要素は目立って精度が悪いのが分かります。2次要素はいずれも大差なく、おそらく4層もあれば実用上問題ないかと思います。

下図は計算時間です。

Hype037


8層になると節点数が増えて計算時間がかなり長くなります(これは、厚み方向だけで無く、幅・長さ方向にもメッシュが細分化されているせいでもあります)。

2次要素で4層程度にとどめるのが、時間と精度のバランスが取れているように思います。低減積分要素は計算時間とメモリ量を減らせますが、それほど大きな削減量ではないようです。今回は検証していませんが、応力値も変わってくると思いますので、利用するかどうかはケース・バイ・ケースと思います。

1次要素の精度が悪いのは、Code_Asterの精度が悪いというわけではなく、標準的な1次要素が適用されているからだと思います。

多くの商用ソフトでは、曲げ特性を改善するための様々な手法が自動的に(デフォルトで)知らないうちに適用されていたりすることが多く、普段はあまり何も考えなくてもそこそこの精度が得られます。至れり尽くせりな感じですが、あまりに自動化されてしまうと、自分が実施した計算が、いったいどんなオプションで計算されているのか分からなくなる時があります。

その点、Code_Asterは硬派というか、ちゃんと理解してオプションを設定していく必要がありますが、そのために色々と調べるので勉強になります。私も今回この検証をやってみて、いまひとつ理解が足りないことに気がつきました。Code_Asterの理論解説や、自分が使っている商用ソフトのマニュアルをもう一度ちゃんと読まないといけないと思いました。

この辺りの話について理解するための書籍は色々有りますが、最近出版された下記のものがお勧めです。せん断ロッキングや体積ロッキング、低減積分、非適合要素などの解説もあります。

  「解析塾秘伝 非線形構造解析の学び方!
   著:石川覚志、日刊工業新聞社、 ¥2,600 + 税

(実は私もちょっと編集に関わっているので、宣伝も兼ねています。)

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